アガベ(Agave)の育て方、増やし方

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鋭利なトゲや、様々な斑入りのタイプ、個体差が楽しめる多肉植物のアガベの育て方について。アガベの成長速度や水やりや夏の管理、冬の管理、植え替えなどについて説明しています。別名リュウゼツラン(竜舌蘭)とも言います。

アガベ(Agave・リュウゼツラン)の特徴と魅力

アガベの特徴と魅力についての説明
Agave americana(大型種) photo by Marc Ryckaert

アガベはリュウゼツラン属の総称で、100種類以上の種類がある。アガベ、リュウゼツラン、竜舌蘭、などと表記されて販売されている。非常に大きくなるものからコンパクトなタイプまで様々です。

主にメキシコが原産。外国のサイトなどではセンチュリープラントと呼ばれ100年に一度開花するとされるが実際は大きな鉢植えや地植えで育てると数十年で開花するようだ。家庭で小さな鉢で育てている場合は開花が難しい。開花をすると子株や種を残して、株は枯れてしまう。

日本の町中や公園、テーマパークなどでは大きく育った「アオノリュウゼツラン」を見ることができる。そこでは開花している株なども普通に見ることができる。同じ種類でも様々な特徴が出て集めても楽しい多肉植物です。

食用としては、最近低GI値として健康志向で注目されているアガベシロップなどや、お酒のテキーラの原材料になっていたりする。

鑑賞用途では綺麗なロゼット(放射状に葉っぱが展開する)を形成し、トゲのタイプや斑の入り方などが美しい種類がある。またサイズも大きくなるものからコンパクトにまとまるものがあり、コンパクトになるものが園芸的には好まれる。

アガベの代表的な種類

以前よりアガベ・ピンキーや、楊貴妃、カブトガニ錦など美しいものが高値で取引されていたが、最近はチタノータなどのワイルドな面持ちの種類が人気がある。

入手しやすく、コンパクトで育てやすいのは下記のような種類が、販売店やオークションなどで最近良く見られる。色々美しい種類はあるが最近はチタノータが非常に人気があり、主に輸入されたもので特徴のあるものが多数販売されている。

  • アガベ・雷神(Agave potatorum)
  • アガベ・吉祥冠錦(Agave Potatorum ‘kisho-kan’)
  • アガベ・王妃雷神中斑(Agave Potaroum ‘ohi-raijin’)
  • アガベ・チタノータ(Agave titanota)
  • アガベ・吉祥天系(Agave parryi)

アガベの種類を下記にまとめました

アガベを購入する際の注意点

アガベの輸入株(ベアルート)の写真
アガベのベアルート(輸入株) 2018年に輸入した際の写真

アガベは個人取引などでは輸入された株(ベアルート・根がないもの)などが多く販売されている。根がない状態でも枯れずにきちんと根を張って成長してくれるアガベだが、育てたことがない人は注意したほうが良い。できれば初めて購入する場合は、鉢植えで育てられて根が張っているものが良い。

以前に比べると非常に値段が上がっているが、多肉植物の中でも育てやすい種類なのでそのうち値段は落ち着く様な気がしています。吉祥冠錦や、王妃雷神などは安価で美しいアガベなのでおすすめです。

発根を促進するために腰水で管理するという方法がある、下記に方法をまとめてみました

アガベの育て方や育てる際の工夫点

アガベに適した温度について

アガベの育て方、温度について

メキシコは比較的温暖な気候。アガベは暖かいと成長をする。日本の冬は厳しい場合が多いが環境への耐性が強い種類が多い。日本で露地植えで育つものがいるが、園芸用で育てる種類は寒さに弱い種類が多い。種類によっては5度以下になる場合は取り込むのが良い。

0度程度までは耐える種類も多いため、事前に調べたり細かく様子をみながら管理するほうが良いですが、霜に当てたり雪が積もるときには取り込む。

寒さに当てると葉の一部が冷害によって枯れる場合がある、また霜に当てたりすると外葉から枯れ込むケースが有る。もしそうなってしまった場合でも中心部の成長点が生きている場合は、春先から成長をしてくれる。

アガベの冬の管理についての説明

なおアガベは夏型ではあるが、日本のように35度以上で夜も30度を下回らない熱帯夜、湿度が高い環境は苦手なようで成長を余りしない。30度を下回り日中と夜間の温度差が大きくなってくる9月10月に成長を再開する場合が多い。日本の短い春秋はアガベにとっては貴重な成長機会となる。

アガベの春、夏、秋の管理・水やりについて

アガベは気温が高いと成長をするため、暖かくなったらできる限り日に当てて水を与える。原産地のメキシコでは春から秋にかけて日本と同じ程度の雨が降るため、比較的乾燥には強いが表土が乾いたらたっぷりの水を与えるようにする。

自分の環境では、真夏であれば2日に2回程度の灌水(水やり)で問題ない。水を与えると成長しやすいと思う。多少湿度が高くとも根腐れなどは起こしにくい種類だと思います。

SUS-TEEという水やりチェッカーを使ってアガベの水やり実験を行ってみました。

アガベの冬の管理・水やりについて

アガベの冬の管理(越冬・冬越し)について、アガベは最低気温が10度を下回ってくると成長が止まってくるため、表土が乾いてから数日後に与える。最低気温が5度を下回ってくると耐寒性の弱い種類では冷害が出てくる可能性があるため室内に取り込めるのであれば取り込んだほうが冬越しを考えると安全。その気温であれば水を切っても問題はない。

室内での管理はできる限り日当たりの良い場所においておく。水やりはしなくてもよいですが成長をしている場合は、多少与えても良いでしょう。自分は水を切っています。

日本の暑さは原産地に比べ暑いがアガベが暑さで枯れたというのはあまり聞いたことがなく寒さで枯れるケースのほうが多いので注意したい。原産地では冬は雨がほとんど降らなく、水がれにも強いため根腐れなどを防ぐために断水するのもよいだろう。アガベの耐寒性についての記事は下記も参照ください。

アガベの植え替え・植え替え時期について

アガベの植え替えについて、根鉢の画像

アガベは旺盛に根を伸ばす。だいたい成長が早い株で2年程度で植え替えを実施するのが好ましい。3年以上同じ鉢で育てていると根詰まりを起こしてしまう可能性がある。また成長が阻害される。定期的な植え替えが必要。基本的には植え替え時には株のサイズが一回りか二回り大きくなっているので、1サイズ大きい鉢(鉢増し)で植え替えるほうが良い。

根が土に対して深く張っていく特性があるようなので、できる限り高さのある鉢に植えると良い。そうすると土の容量も増えて根詰まりまでの時間をかせぐことができる。

植え替えのタイミングは成長をはじめる前の春。できれば成長が始まる前に植え替えを実施したい。目安としてはGW前には植え替えたい。落葉などが無いので比較的年間を通して植え替えが可能。真夏は株も暑さでやられているので控えたい。冬も成長をしないので発根が難しくなるので控えたい。秋の植え替えは可能だができれば冬に入る前に発根している状態としたい。

植え替えの際に枯れている下葉は取り除きます。下葉が枯れている状態は古株っぽくかっこよいと思うこともあるかもしれませんが、子株や根の成長を邪魔してしまう場合があったり、カビの生える原因になります。枯れた下葉は手でとります。

取れる根っこは外してかまわないですが外しすぎると植え替え後の動きが鈍くなるようです。白い根っこはできる限りダメージを与えないようにしたい。サボテンのように生きている根まで切るような植え替えではなくあまり根にダメージを与えないようにして鉢増ししていくのがよい。

アガベに適した用土について

アガベの用土、水はけの良い用土を利用する
ゴールデン培養土と赤玉土を1:1で混ぜたもの

用土は水はけがよく、きちんと根がはれれば何でも良いと思われる。一般的に販売されている多肉植物の培養土で問題なく育つ。水はけが良い用土を選びたい。

オススメはゴールデン培養土と赤玉土を1:1で配合したものが水はけが良く根の成長を邪魔しない。肥料はマグァンプKを用土に入れると良い。成長度合いにもよるが用土中の肥料分を減らし液肥を与える。有機肥料などあまりなくとも立派に育つと思う。

アガベの肥料について

締めて作る場合は、肥料を控えめにする。また有機用土も控えめにして水やりを控えると締まった作り(締めて育てる)にできる。水がれをすると下葉から枯れてくるので状況を見ながらだろう。

日照・置き場について

アガベ・チタノータの葉が広いタイプ。

アガベは耐陰性はあまりなく、強い光を欲しがります。室内で観葉植物として育てるのは難しいでしょう。できれば2時間以上は直射日光に当たるような環境に置けるのがよい。西日に当てると斑入りの種類などは葉焼けを起こしてしまう場合があるので置き場の工夫などを行い場合によっては遮光などを実施する。また多肉植物全般に言えることですが風通しを良くしたい。

2時間以上の日照を当てることをしていれば、多くの種類はきちんと元気に育てられると思います。室内での育成は向いていません。冬は気温が下がるため室内に取り込んだほうが良いですがその場合でも日当たりを確保するようにしたほうがよいです。水を与える場合はできる限り風通しがよい状態にしたうえで日に当てるようにする。

アガベの病気、害虫について

あまり害虫がつくことがないが、梅雨の時期に日照不足+湿度でハダニがつくことがあります。見つけ次第、濡れたティッシュや歯ブラシなどで除去してください。稀に成長点付近にカイガラムシなどがつくことがあります。同じく見つけ次第除去してください。

下葉が成長よりも早く枯れる場合はうまく成長ができていない可能性があります。発根がしているかどうかなどを確認します。アガベの葉が赤くなる場合は水かれの可能性があります。水を普段より多めに与えて様子を見てみる。アガベが柔らかくなった場合は冬であれば冷害が出ている可能性があります。

アガベの葉が部分的に黒くなったり茶色くなった場合、一部の種類に炭疽病が出やすいことがあります。症状については下記にまとめてあります。またアザミウマという虫による食害も発生する場合がある。

アガベの増やし方

アガベを子株で増やす

アガベの増やし方、子株で増やす方法
チタノータ白鯨大株についている子株(2年放置しています)

アガベは元気な株であれば毎年のように子株が根の付近から生えてきます。植え替えのタイミングで親株から外して単体で育てることで増やすことができる。

親株から外す場合は自然に取れる場合があります。また少し力を入れると外れる場合もあります。ハサミなどで切る場合はきちんと消毒をしてから行いますが、自然に取れない場合はまだ子株が育っていないケースが多いので付けたまま植え付けたほうが良い場合が多い。

子株は親株についていたほうが成長速度が非常に早く、外してしまうと成長が止まってしまうことがあります。子株がなかなか成長しない場合は発根していない可能性があります。下記の記事で子株の発根についての腰水実験の様子を紹介しています

実生で増やす

国内ではあまりアガベが開花せず種が採取できないのと、斑入りの種類などは園芸品種として株分けされたものが多く種の入手性があまり良くないですが原種に近いものは種を輸入して育てることもできます。ただ取り扱っている種の多くは大きくなるタイプが多いので注意してください。下記は実生記録の記事です。

その他、葉押しで増やす?胴切り?芯止め?

アガベはエケベリアなどと違って葉押しで増やすことは難しい。基本的には子株で増やす。子株を強制的に吹かす方法などはある。胴切りや芯止めなどは可能。

アガベ(リュウゼツラン)の種類紹介

アガベ(リュウゼツラン)の育て方のコツなど

アガベ チタノータの販売

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この記事を書いた人

yurupu

ゆるぷの管理人。会社員(東京)植物栽培歴は20年。栽培環境は東向きベランダ→南西向ベランダ。400鉢くらいを管理。最近はマイナーな灌木とユーフォルビアの普及種が好きです。日本ブロメリア協会(BSJ)、国際多肉植物協会(I.S.I.J.)会員。