くるくると曲がった奇妙な葉が魅力的なアルブカ・コンコルディアナ(Albuca concordiana)。1年更新の球根植物(bulbs)です。サイズも2.5〜3号鉢(10cm)程度の小さな鉢で十分育てられるのでベランダ栽培には適していると言えます。そんなアルブカ・コンコルディアナの紹介と育て方。
アルブカ・コンコルディアナの特徴と魅力
秋に球根からくねくねの葉を出し始め、うまくすると春に花が咲き、初夏の頃に地上部の葉っぱが枯れる。一年サイクルでリセットされるので育てた経験を活かしながら毎年新たにチャレンジできるところも球根植物の魅力だ。
コンコルディアナなどの南アフリカ球根系によくある特徴の、カールする葉を楽しむものは葉をうまくカールさせることが重要だ。さらに花が咲けば2重の喜びが味わえる。
アルブカ・コンコルディアナの育て方
夏の間は葉を枯らして休眠しているので、水を与えず風通しの良い雨の当たらない日陰のような場所に置いておく。ほとんど放置の状態だ。
8月下旬頃から少し様子をみはじめる。特に何もしないが、気になるなら水を少し与えてみても大丈夫だろう。ただ地上部に葉が出てきたら水やりを再開するのが良いだろう。
2017年9月30日に撮影。この鉢は3号(12cm)の鉢だが植え替えせずに夏を越させていた。もともと2球植えたが分球していると思われる。
葉が出始めた。水やりをはじめ日当たりの良い場所へ移動しとにかく日光によく当てる。日光に当てないと葉がくねらず徒長してしまう。水は土が乾いたらたっぷり与える。週に1,2回という感じ。水の代わりに1度はハイポネックスなどの液肥を与えている。
2017年10月18日に撮影したアルブカ・コンコルディアナ。くるくると葉っぱが巻いていることがわかる。
2017年12月20日に撮影したアルブカ・コンコルディアナ。寒い日が続いて室内の明るいところに置いていたらとたんにこの通り、徒長してしまった。寒さを気にしすぎたかもしれない。最低気温7度を目処に室内に取り込んだが、昼間暖かくなるなら3〜4度でも大丈夫そうに思える。
同じように葉のカールを楽しむアルブカ・スピラリス・フリズルシズルの場合は、カールが伸びてしまっても日光に当てると再びカールしてくる。それを期待してアルブカ・コンコルディアナをなるべく日光に当てたが巻き戻らなかった。
真冬の水やりの回数は様子をみながら週に1回程度だった。
2018年3月19日に撮影したアルブカ・コンコルディアナ。つぼみがはっきり見えるようになった。3本出ている。日光にはできる限り当てている。液肥を少し与えた。気温が上がってくると水やりの回数をいくらか増やす。
2018年3月27日に撮影したアルブカ・コンコルディアナ。花の茎は曲がりはじめたと思った時にすぐに鉢回し(鉢の向きを変える)をしないとあっという間に傾いてしまう。こうなったらもうまっすぐにならない。アルブカ・コンコルディアナは一度成長すると修正は効かないようだ。花が終わった後液肥を与えた。
2018年4月18日に撮影したアルブカ・コンコルディアナ。受粉したようで実がなった。前年も咲いたが前年は実がならなかった。受粉作業は実施していないので、こんなに実が付いたのは虫の媒介があったかもしれない。
2018年4月18日に撮影したアルブカ・コンコルディアナ。実が開いて種が見えたので収穫した。収穫した後、球根を育てる為に液肥を与えた。お礼肥である。葉は完全に枯れるまではとらないでいる。水やりも回数を減らしていく。せっかくなので種を撒いてみました
スイセンなどの球根類一般に言えることだが、葉にある養分を球根に戻して葉は枯れていくので葉が見苦しくなってもそのまま枯れるまで待つことで球根が育ち、また次に元気に芽を出してくれるのだ。
2018年7月27日に撮影したアルブカ・コンコルディアナ。葉が枯れはじめたら水やりは控える。葉が茶色くからからに乾燥すると簡単に葉はとれる。鉢は風通しの良い雨の当たらない日陰に置く。
アルブカ・コンコルディアナの植え替え
植え替え時期は、葉の無い休眠している時期(真夏)に実施する。前年植え替えなかったので鉢の中はおそらくぎゅうぎゅう詰め状態で限界だろうと思いながらやってみた。
やはりぎゅうぎゅうになっていた。
ばらしたところ。大小複数の球根に分球していた。
球根に根がついているがこれは生きているので切り取らない。なるべく丁寧に扱う。チューリップやスイセンのように球根だけになるわけではなく、球根と根の状態を保ち土の中で夏を過ごしているのだ。球根と根がむき出しの状態が長く続くのは乾燥が進んで球根に負担がかかるのでなるべく早く植え付ける。
用意したのは今まで使っていたものと同じ大きさの鉢(3号12cm程度)と鉢底用の軽石、油かす数個、マグァンプK少々。用土は普通の園芸用の花・野菜の有機培養土に赤玉土を混ぜたものを利用した。
軽石を鉢底にいれ土を3cmくらい入れた。そこに油かす3個とマグァンプKを少々、均等になるように蒔く。その上にさらに土を1〜2cm入れる。これは根に肥料分が直接当たらないようにする為だ。
根を傷めないように気をつけながら根を張るように広げて鉢と球根の高さをみながら置く。位置が決まったら土を入れる。軽くとんとん鉢をたたいて土を安定させて完成。水やりはしなかったが土の表土がほこりっぽいので霧吹きで湿らせて落ち着かせた。
風の通る日陰に置く。秋の芽吹きが待ち遠しい。
球根とは言えないような小さな球根も3号鉢にまとめて植えてみた。小さな葉が一枚出る程度でこれもまたかわいいものが出るかもしれない。
8月下旬、小さい球根たちからも芽が出始めた。夏が異常に暑かったせいだろうか?去年より1ヶ月近く早い。
9/13に撮影。葉をくねくねさせるのはここからの日照が勝負。1番日当たりの良い場所に置いた。
9月にはいってから良く晴れた日はほとんどなかったせいだろうか。くねり具合は今ひとつ。でもこれはこれで温泉マークみたいでかわいい。まだまだ育っていくと思うので今後の日照に期待したい。
ちなみに大きい球根の方はこんな感じです。
9月30日に撮影。9月は日照時間が少なく、少し徒長気味ではあるが順調に育っている。
アルブカ・コンコルディアナの病気
10月半ば頃、葉の下の方に小さな黒い点とその付近に広がるしみがあることに気づいた。ゴミと水のしみとおもった程度であまり気にしていなかったのだが、それから数日で黒い点が増えたようだったので黒いハダニか?と思い植物用の殺虫剤をかけてみた。
黒い点は減ったように見えた。
数日後、黒い点や水のしみのように見えた部分が変色してきた。
昨年は平穏無事に育ってくれたのですっかり忘れていたが、一昨年は同様の症状が出て、どうしたらよいかわからず見守っていたら結局葉全体が変色していき、半分枯れたような葉で春を迎え早々と休眠していたことを思い出した。
クリップ式レンズをスマホにつけて、病気?の症状が出ている部分を撮影した。肉眼では黒い小さな虫のせいで変色したようにも見えるが、こうしてマクロ撮影してみると虫ではないと思える。
アルブカ・コンコルディアナが何の病気なのかは断定できないが、これ以上悪化させないために広範囲の病気に効果があり家庭園芸では代表的な殺菌剤であるベンレート水和剤を作って使用してみた。
変色した部分の色は元には戻らないと思うが、これ以上変色が広がらないことを願う。
ベンレートを霧吹きを使ってたっぷりしたたり落ちるほど葉に霧吹きした。毎日よく観察するようにしたが、それ以降症状の広がりは止まったようだったが、散布から4,5日後に念の為もう一度ベンレートをたっぷり霧吹きした。
12月10日に撮影。それ以降様子をみているが病変(?)のところはシミのようになって残ってはいるが、広がらずにおさまっている。病変部の色もやや薄くなった。全体から見れば症状のある部分は少なくすんだ。ベンレートは有効のようなので症状がなくても使用しておくと予防にもなりそうだ。
12月10日に撮影。小さい方の鉢には幸い症状が出なかったがベンレートは2回霧吹きしている。
病状が収まったので安心していたが今回よく見ると再発しているのを発見。ベンレート液を作ります。葉が少々汚れ有りになりましたが来年はまた綺麗な葉が出ます。
殺菌剤利用のレポート記事です。
アルブカ・コンコルディアナの耐寒性
去年は最低気温7度を目処に室内に取り込んでべろんべろんになってしまったので今年は今の所取り込まずに外の日当たりのよい所に置いています。現在の様子からすれば東京23区内であれば霜や雪に当てなければ外で越冬できそうな雰囲気ではありますが様子をみながらなるべく外に置いておくつもりです。
2018年シーズンの開花
今期(2018年-2019年)はよほどの寒い日(最低気温予想1度2度位)と北風が強い日、雪の日以外はアルブカ・コンコルディアナは外においていましたが無事に越冬しました。
日光のよく当たる場所にあったので、カールもそこそこ残りました。花芽は伸びだすとすぐに日光の方向に傾いてしまうので2日に1回位の割合で頻繁に鉢回しをして花芽がなるべく真っ直ぐになるようにしました。
花は下の方から開花していきます。日中だけ開いて夜は閉じます。
ほんのりと甘い香りがします。開花は気温の低い外に置いていたためか、昨期より少し遅くなりました。
2019年春。1年前に球根と言えないような小さな球根を植え付けましたが、春が過ぎ葉が全て枯れたので掘り上げました。元気に育っているようです。
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