パキポディウム グラキリスの現地株と実生株の耐寒性について

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マダガスカル原産のパキポディウム・グラキリス(Pachypodium rosulatum var. gracilius)の現地株と実生株の耐寒性についての考察です。

パキポディウム・グラキリスの自生地について

by Bernard Gagnon

パキポディウム・グラキリス(Pachypodium gracilius)はマダガスカルが原産。マダガスカルの中央の台地に生息している。マダガスカルのイザロ(Isaro Madagascar)付近のようだ。

標高は300m〜1,000mとのこと。イザロ国立公園の東に位置するラノイラ(Ranohira)の気温は以下の通り。

気象庁、世界の天気より

マダガスカルは南半球なので6月〜8月が気温が低い時期になる。それでも最低気温は2018年は7月17日の7℃のようだ。6月に8℃、8月にも8℃の日がある。また気温が上がってきた頃に雨が降るようだ。このことから最低気温が10度を切る頃から室内に取り込んだほうがよいだろう。

パキポディウム・グラキリスの耐寒性と越冬

寒さに比較的弱いパキポディウム・グラキリスは、秋になると落葉を始める。落葉が終わる頃には気温が10度を下回る日になっており室内に取り込み、完全に落葉をすると休眠期間となり基本的には断水をし室内の日の当たる場所に置いておくという管理になる。

個体差があり落葉しない場合は、株の状態を見ながら幹の部分がしぼんできたら、少量の水を与える。ただし成長はかなり遅くなっているので用土が長い間濡れている状態だと根腐れを起こしてしまう可能性があるので注意が必要だ。

パキポディウムの中でも耐寒性がある種類もある。パキポディウム・ビスピノーサム(Pachypodium bispinosum)などは10度を下回る頃に室内に取り込むと落葉せずに越冬をする。

また同じパキポディウム・グラキリスで同じ管理をしているが、自分が育てている株で落葉しない株もある。その株も春に成長を再開して新しい葉がでると、前シーズンの葉は落葉していく。

現地株と実生株の落葉タイミング

左の株は現地株、右の株は実生株(4年目)

2018年11月9日に撮影。左の株は多分数年日本で越冬した現地株。右の株は自分が実生した4年目です。

落葉しないパキポディウム・グラキリスは実生株。実生の1年目はまだ小さいので水切れをしないように育てていて全く落葉しなかったが、2年目以降はほぼ断水状態だったが落葉しないで越冬した。このことからそもそもの植物の耐寒性があるものの、実生した環境に多少は最適化されるのではないかという仮説。同時期に実生した株が2株あるが、両方とも同じような傾向である。

2018年3月18日に撮影。葉を落とさないで春を迎えた実生株(当時実生3年目)詳細は下記の記事を参照ください。

また現地株を数年育てても落葉はするようなので、大きくなってからの環境変化への適応はあまりしてくれないのではないだろうか。

ただ同じ実生株でも早々に落葉して休眠する種類もある。下記のパキポディウム・ホロンベンセは実生株だが秋にはいると早々と葉を落とします。

実生環境なのか、種類によるベースの耐寒性なのか、完全に個体差なのか、種を落とした株の状態や環境によるものなのかはわからないが、実際は同じ種類でも落葉する場合としない場合がある。経年で変化することもあるだろうしもう少し多くの株を育てて今後も考察してみたいとおもう。

補足

投稿した記事にご意見いただきました。ありがとうございます。確かに葉を落としたほうが越冬はうまく乗り切ってくれるのかもしれません。

一概に「葉を落とさない=耐寒性がある」と言えないかもしれないですし、「葉を落とさないほうが良い」とは断定していないですが「落葉したほうがよい」ケースもあるかもしれません

補足2

実生した3年生のアデニア・グラウカと(多分国内実生の)購入した4年生位のアデニア・グラウカ。共に11月日に撮影した。自宅にはアデニア・グラウカが10本以上あるが、実生したものは落葉タイミングがみなおなじ。種の親株の性質なのか、発芽した際の環境なのか?

2016年に実生したアデニア・グラウカ(3年目)
2016年に購入したアデニア・グラウカ(多分2015年実生の4年目)

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この記事を書いた人

yurupu

ゆるぷの管理人。会社員(東京)植物栽培歴は20年。栽培環境は東向きベランダ→南西向ベランダ。400鉢くらいを管理。最近はマイナーな灌木とユーフォルビアの普及種が好きです。日本ブロメリア協会(BSJ)、国際多肉植物協会(I.S.I.J.)会員。