多肉植物の高温障害、湿度や猛暑対策など

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2018年の夏は全国的に非常に湿気が高く、気温も高い、夜も熱帯夜という植物にとって厳しい季節だった。多肉植物は年間を通して暖かい地域が原産国の場合が多く寒さへの注意喚起が多いが近年寒さで枯れるというよりは暑さに負けている植物が多いように思える。

多肉植物は寒さに注意というけれども

日陰に置いてあるが2018年は40度近く行く日が多い

育て方の本などをみると、最低気温について「何度以下にならないように」という表記が普通にみられる。何の植物にもいえるが、たった一度霜に当たっただけ、たった一晩寒い外に置いただけで枯れてしまうということがよくあるからだ。

熱帯方面から来日している多肉系の植物たちにとって、寒さは大敵なのだ。だからといって暑さは問題ないかといえばこれも暑すぎでは問題がでてくる。

猛暑の時期の注意点

2018年は夏型の植物が1番気持ちよく成長できると思われる(?)25度前後の時期があまりなく6月末には30度を超える日ばかり続き、7月は最低気温すら25度以下にならず35度の高温が連日続くという異常っぷりだ。

しかも公表される気温よりベランダの気温は2度以上高い。(ベランダの向き、形状、エアコン室外機の向き、などの条件によると思うが)

中には調子を崩す植物もあるので、注意深く観察して早めに対策をとりたい。

冬型休眠中の植物の暑さ対策

冬型植物の夏は、風通し良く管理、雨に当てない、水もやらない、霧吹き程度の水を与える、涼しい日陰に置くというのが定石だ。「涼しい」というところが問題で、植物にとって何度が涼しいかは判断できないが、気温30度では涼しいとは言えないのではないかと思い、自分が暑さに耐えかねてエアコンを使った段階で休眠中のブックホルジアーナスやオトンナ・ユーフォルビオイデスを室内に入れた。

室温は昼間は26度〜27度、夜間は23度〜24度といった具合で涼しいのかは不明だ。一日の寒暖の差はあまりないが外の35度以上よりは良いだろうと思う。時々霧吹きをしている。

球根系のコンコルディアナ、フリズルシズルなどは外の日陰に置いていたが植え替えをしたので大きめの球根を植えた鉢は外だが小さめの球根を植えた鉢は大事をとって室内に置いて時々霧吹きをしている。最高気温が30度くらいになってきたら外に戻すつもりだ。

夏型植物の暑さ対策

植木鉢の温度

植木鉢の側面に直射日光が当たっていないか確認する。特に黒い鉢はとても熱くなる。つまり鉢の中の土も高温になっているということ。炎天下に停めた車の車内を思い浮かべよう。朝たっぷり水やりをしたらおそらくそれは鉢の中でお湯になっているはずである。

日光の大好きな植物には日光をあてるようにするが、鉢には日光が直接当たらないよう工夫することをおすすめする。

葉焼け

葉焼けの例

葉焼けは時期を問わず起こるのでいつも気をつけることではあるが、特にアガベなどの水を与えた時葉に水がたまって流れ落ちないものはストローなどを使ってたまった水を吹き飛ばしておく。水がレンズの代わりをして葉焼けの原因になる。夏場の日光は特に強力なので注意したい。

葉焼けは遮光などをして防ぐが、こちらの葉焼けはウォータースポット的な葉焼け例。日照が強すぎて葉焼けしてしまうのは仕方がない場合もあるが、こちらは管理をきちんとすれば回避できた可能性が高い。(古い葉の場合発生しやすい)

高温障害

年中咲きっぱなしの花キリン(ユーフォルビア・ミリー)に白い葉が出始めた。花の色も薄くなった。昨年の夏も経験しているが、これで枯れるわけでもない。そのうちまた普通の色の葉が出てくる様になる。これは暑さによる高温障害とみられる。

白くなった葉は気温が下がってくるといくぶん緑色に戻ってくるが、完全には戻らない。白っぽくなった葉は元の緑色の葉よりも大きくなりくるっとまいている。その形も戻らない。

今はこの状態だが白い葉は大きくバランスが悪くなるので様子を観ながら葉はとっていくことになるだろう。この後しばらく花が咲かなくなる。

綺麗な状態
高温障害と思われ、葉の色、花の色が抜けてしまった(同じ株)

元気に花を咲かせるミリーも暑さに苦しんでいるのだ。

エアコンの室内に取り込んで3週間後の様子。写真の右のピンクの花が咲いていた株は成長が止まった状態で、咲いていた花が咲き終わると新しい芽の動きが全く無い。

左及び真ん中の株は症状は軽く済んだようで、花数は減ったが次の花芽が準備中になっている。右の株が再び花をさかせるようになるにはまだしばらく時間がかかりそうだ。

毎年直射日光がガンガンあたってもびくともしないパキポディウム(写真はパキポディウム・ホロンベンセ)今年は小さい株というのもあるが高温障害のような状態になってしまった。またこうなることで成長が一時的に止まってしまっている。

異変を感じたら室内に

オベサやサボテンなどは下部から木化するがこれは数年前の葉焼けで頂点部分を焼いてしまい、そのままうまく成長したケース。模様が入ったように見える

元気がない、しおれてきた、色がおかしいなど異変を感じた時は、とりあえずエアコンを付けている室内で観察して様子をみるとよい。この高温多湿の状態は熱帯出身の植物にも異常な状況なのかもしれない。

外に戻す時は、高温になる予報の出ている日はさけ、暑い日中ではなく夜や朝方、室内と外の温度差の少ないときがよいだろう。直射日光は徐々に慣らす感じですぐにガンガン日光には当てない方がよい。

小さなものや1年目、2年目位の若いもの、入手したばかりで環境に慣れていないものには特に注意が必要だ。

同じ種類のものでも適応力はそれぞれでかなり違うようで、酷暑の炎天下でも元気なものは非常に元気だ。

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この記事を書いた人

yurupu

ゆるぷの管理人。会社員(東京)植物栽培歴は20年。栽培環境は東向きベランダ→南西向ベランダ。400鉢くらいを管理。最近はマイナーな灌木とユーフォルビアの普及種が好きです。日本ブロメリア協会(BSJ)、国際多肉植物協会(I.S.I.J.)会員。