3Dプリンターの植木鉢における鉢底について考察

3Dプリンターで植木鉢を作る際に大きな論点の一つに鉢底形状をどうするかというのがある、色々なパターンを検証しいくつかの鉢底アイディアをシェアします。オーバーハングについての解説も。

本記事について

3Dプリンタを扱ったことがない方でも読めるような内容になっています。

3Dプリンターで作る植木鉢の鉢底について

3Dプリンターで植木鉢を作る際に論点、デザインや構造的に考慮が必要になる部分は鉢底だと思います。植木鉢の構造上、水が抜けるようにしなければならない。また既成製品で一般的な構造は3Dプリントにおいてはオーバーハングが発生する場合が多い

オーバーハングとは?

3Dプリントにおけるオーバーハング例
3Dプリントにおけるオーバーハング例

FDM(積層)方式の3Dプリントは下の層から徐々に積み上げるように印刷をしてゆく。なので画像の左のTのモデルは横線部分の印刷に差し掛かるはじめの印刷が空中印刷になってしまう。FDM方式の3Dプリンターでは設定やフィラメントの特性にもよるが45°〜60°くらいの角度で造形崩れが生じる。サンプルのTは0°です。

3Dプリントにおけるオーバーハング例(書き出しシミュレーション)
3Dプリントにおけるオーバーハング例(書き出しシミュレーション)

ちょうど横線部分の一番はじめの層の印刷工程です。空中で印刷をしていることがわかります。オーバーハングを回避するために、一般的には右のモデル(1枚目の画像のブルーの縦の部分)にあるようなサポート材というのをプリントしてオーバーハング対策を実施します。設定はスライサーというプリント設定ソフトを使います。

オーバーハングの工夫と対策

オーバーハングが発生する造形を綺麗にする方法としてはいくつかのアプローチがある。サポートを綺麗にするためには、「スライサーの設定を見直すこと」「サポート生成が優秀なスライサーに変更すること」「水溶性サポート材の利用」などがあるが、下記で多少触れて主に「回避する」ことに重点をおきます。

パソコンにインストールしているスライサー
パソコンにインストールしているスライサー

なおスライサーによってサポートの付き方が変わる。自分は回避することを心がけますが有料スライサーになりますがSinplify3Dの評判がよいようです。自分はあまり使いこなせておらずCuraもしくはCura系のスライサーを普段利用しています。PrusaSlicerとUltimaker Curaは無料です。

多くの方が想像する植木鉢の鉢底。水抜き用の穴と切り欠きを普通に3Dプリンターでサポート付きで印刷したものです。設定はCura、グリッド、サポート密度15%。

3Dプリンタのサポート除去後の表面の拡大
3Dプリンタのサポート除去後の表面の拡大

鉢底にサポートを利用するのも案外悪くないかもしれませんね。そもそも鉢底で覗き込まないといけないので。積層痕やサポート痕を含めて3Dプリンターによる製造という特徴としてもらえる文化が醸成されると良いとは思います。

オーバーハングをスライサーの設定で工夫する

3Dプリンタのオーバーハング対策、設置
3Dプリンタのオーバーハング対策、設置

3Dプリンターによる造形では、3Dデータを用意した上で、プリント設定のスライサーのアプリで印刷設定をする。Tの造形を作るときに別に製造過程がTである必要はありません。王道としては逆さにすることですが3Dプリントの植木鉢だと使えないですね。(ちなみに右の45°傾けたものは印刷は失敗しました、ブリム付けても失敗しました!)

オーバーハングを発生させない造形を行う

水溶性サポート材の利用はまだ一般的ではなく、サポート材の設定を詰めて上手く印刷できたとしても取り外しコストと、表面の造形崩れなどは生じてしまう。FDM方式の3Dプリンターではいかにオーバーハングを発生させない、発生させる場合でもサポートを利用しないような工夫が必要だろう。

植木鉢の印刷途中で青海波のモデルですが、円弧なのでオーバーハングが発生するがサポートなしで抜けるか?とおもったのですがギリギリ造形が崩れてしまいました。ただ模様に関しては約1mm以上の凹みですがそれなりに綺麗に印刷できています。多分1.5mmの凹みなどだと難しいと思います。この辺は自身が利用しているプリンタの精度、フィラメントに対しての印刷設定で多少はコントロールできると思います。

鉢底造形について

非サポート利用前提で鉢底へのアプローチは下記の通り大きく3つ方法があるだろう。

  1. 鉢底をスリットにする
  2. 鉢底をメッシュにする
  3. 鉢底ネット利用前提にする

1.鉢底をスリットにする

鉢底をスリットにする
鉢底をスリットにする

SSN鉢が取りいてている方法ですが、鉢底をスリットにしています。ワイヤーラック前提であれば底面のみの穴でもよいのですがそれ以外の場所においた場合はサイドの水抜きがないと水が抜けなくなってしまいます。なので底面と側面を通るスリットにしています。側面の三角はデザイン性もありますがこの記事をここまで読んでいただいた方ならわかると思いますがオーバーハング対策で三角形になっています。

3Dプリンタによる造形の面白さはないものの製造の安定性と排水性が担保されています。スリットの幅や側面の切込み高さはいくらでも自由にできます。なんなら側面スリットを鉢植えまで伸ばしたデザインなどもよいと思います。

2.鉢底をメッシュにする

3Dプリンタらしさがでますが、鉢底をメッシュで抜く方法。メッシュで抜く方法に関しては方法やデザインなどいくつもの方法があります。メッシュをデザインする方法とインフィルを利用する方法。インフィルを利用する場合は大きくインフィルには3次元と2次元があります。

インフィルパターンに関しては下記が参考になります。
3D Printing Infill: The Basics – Simply Explained

2Dインフィルを利用する場合は、サイドに貫通する水抜きを用意したほうが良さそう。スリットと2Dインフィルの組み合わせなどでデザインの工夫をしてもよいかもしれません。3Dインフィルを利用する場合は、サイドの水抜きは不要だとおもうのですが、根張りが旺盛な植物の場合は植え替え時に根を切り落とす必要がでてきそうです。

鉢底で普段は見ることがあまりないので、どこまでデザイン性と造形のしやすさを取るかでしょうか。(頻繁に鉢底を確認する人は、たくさんいると思いますけど、例えば私とか笑)

メッシュの造形として、メッシュの構造使った着生プレートについては下記の記事を参照してください。3Dインフィル利用は3Dプリントの醍醐味とも言えると思います。

3.鉢底ネットを利用前提にする

大きく鉢底の水抜き穴が大きくあいたデザイン。たまに陶器鉢などでも見かけますがオーバーハングが発生しないような工夫を行うことで、一般的な植木鉢の形に近づけることができる。ただしその場合はサイドの水抜きを開ける工夫が必要。

鉢底ネットに近いものを2Dインフィルなどで作って接着するという方法もあります。くっつけるや接着するというそもそも3Dプリンタで1つの製品を作るのに複数の製品を組み合わせるという選択肢を持つと、様々なアイディアが生まれると思います。

デザイン性、機能性がよい3Dプリンタならではの鉢底造形について、みなさんとアイディアを出し合って作っていきたいですね。

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