以前、着生植物向けにヘゴ代替を目的に着生用プレートを作成しましたが、3Dプリンタでビガクシダ用のジャイロイドメッシュ着生板を作ってみました。ちょっとした作り方と着生板の紹介。
以前製作してSNSで頒布させてもらった着生プレートは下記を参照ください。
3Dプリンタで作った着生用プレートの使用例
twitterのフォローワー様より譲っていただいたビカクシダを着生プレートに板付してみました。また若干数、2022年1月28日に頒布させていただいており植え付けていただけた方の紹介です。
試作品頂いたので早速付けてみました。通気性はめちゃ良さそう。
— ジュラ紀 (@juraki02) January 23, 2022
15cmなんで矮性なら長く楽しめるかなというチョイス。#SSN鉢 pic.twitter.com/YyJMJOXJV1
INDOOR HOBBIESのフルキさんがレビュー動画をあげてくれました
3Dプリンタでの着生板の作り方
着生板は比較的簡単にできるのでぜひ試してみてください。今回はデザインはSSN鉢の雰囲気を踏襲するため八角形の板に周囲にスタッズを付けてみました。 中央部分は折角の3Dプリンタ製?なのでメッシュにすることにしました。
3Dデータの準備(モデリング)
枠となるパーツと、板付するメッシュの部分のパーツを作成します。スタッズを配置しなければシンプルな造形なので簡単にできると思います。
fusion360であれば、スケッチで作成>ポリゴンで多角形を描写、修正>オフセットで枠を描写、ワイヤーを引っ掛けるための坑を描写。
そして押出で枠部分と中央部分を別のボディとして作成し、それぞれのボディをSTLで保存して終わりです。fusion360上のステップは3ステップです。
3Dプリント設定(スライサー)
CURAの場合
2つのデータを読み込んで、メッシュにしたいボディを選択して個別設定を加えます。メッシュはジャイロイドにしましたがジェイロイド以外のインフィル形状も面白いと思いますよ!
メッシュ部分の設定が終わったら、Edit>Select All Modelsで2つのモデルを選択してEdit>Merge Modelsで結合。位置がずれると思うので手動で修正するかEdit>Reset All Model Positionsで配置します。スライスをするとプレビューでメッシュ状も確認できます。
Marge Modelしてしまうと細かい調整が面倒ですが、メッシュ部分のinfill densityの値を変えると見栄えが大きく変わります。メッシュ部分と枠の接合強度などパラメーターで調整できますが基本は用意されたパラメーターでそれなりに上手くいくと思います。
PrusaSlicerの場合
Curaと違って2つのモデルを読み込ませるとちゃんと合わさって読み込まれました。メッシュ側のパーツに対して「インフィル」と「積層ピッチと外壁の設定」で、Curaと合わせるには上記のような設定をします。
3Dプリントでできたビカクシダ用着生板
何度かプリントをしてデザインを作り直しました。今回はQidi i-mateと付属のCURA系のスライサーで作りました。厚さはメッシュ部分の造形タイプと密度によりますが、ジャイロイドを使う場合は10mm以上あったほうがよさそうです。また所詮インフィルで外に露出して使う想定ではないとおもうので外枠もある程度の厚さが合ったほうが良さそうです。1辺にスタッズが6つ配置されている直径150mmくらいの着生板とスタッズが7つ配置されている170mmくらいの着生板を作りました。
このデザインはファーストレイヤー(ビルドプレートに接する面)にジャイロイドの印刷がスタートするのでファーストレイヤーの密着が悪いと失敗しやすいです。また必然的に印刷面積が広いので反る可能性があります。それぞれ自身のプリンタの特性や部屋の環境によるのでうまく行かない場合は調整が必要です。
トライアンドエラーで経験が生きてくるところでこの辺のトラブルシューティングが経験になります。2Dプリンタのようにボタンを押したらきれいな印刷物が出てこない3Dプリンタ特有の問題だと思います(きっと未来は解決されるはず)
ハード面と設定面でアプローチがありますが、ハード面ではファーストレイヤーはビルドプレートの脱脂、ノズルの高さの調整。反りは室温をあげる、エンクロージャー(囲い)のあるプリンタは扉を閉めるなどでしょうか。
素材はPLAという素材を使っていてそこまで耐久性がありません。PLAの植木鉢は温度の課題があるのですが着生植物を炎天下の下で長時間晒していたり、水苔がある状態で60℃以上の温度にはなりにくいのでそこまで温度の問題にはならないかもしれません。
どちらかというと長期間の着生と耐久性、また根張りが旺盛な着生植物の場合は根が入り込むことはよいとおもうが着生材の交換は難しいのでこの辺は長期利用でわかってくる部分かなと思います。(ヘゴも劣化するのですがそれでも長く持つのと、着生板の場合は取りやすい)
ある程度通気性の良い着生板をオリジナルのデザインで作れるという楽しさはあると思うので、ぜひ試してみてください!