生物季節観測的な多肉・塊根植物の冬の取り込みや春の外管理タイミング

多くの多肉植物や塊根植物は冬は室内に取り込んで管理をして春に外に出していると思うのですが生物季節観測的なアプローチでのタイミングの管理を考察。3年位ぼんやりと記録や観測してみました。

多肉・塊根植物の冬の取り込み(温度で見る)

多肉・塊根植物の多くが南アフリカ、東アフリカ、マダガスカルが原産となっていて日本に比べると夏は過ごしやすく、冬は暖かいです。特に夏の暑さには耐えますが冬の寒さには野外では耐えられず室内に取り込む必要があります。

何年か植物を育てていると植物に対して取り込みタイミングがなんとなくつかめてきます。概ね書籍などでは南アフリカ原産の植物の耐寒性は5度みたいな表現が多いです。これは環境(風当たりと日照、水やり)と最低気温最高気温など、そもそも植物の種類によっても変わってきます

結局の所、種類によって耐寒性が違い、環境や最低気温や最高気温などたくさんの情報から経験で判断してゆくことになると思います。SNSは環境が違うためあまり参考にならないです、その方が東北かもしれませんし沖縄かもしれません。温度で管理が基本だと思います。そして最近少し意識しているのが生物季節観測的な管理ができないかを考えていました

生物季節観測とは

2020年に気象庁が生物季節観測の対象数を大幅に削減するというのがニュースになっていました。2021年からは、さくら、うめ、あじさい、すすき、いちょう、かえでの6種類に。それ以前は70年近く34種類の植物と、23種類の動物が定点観測されていました。せみ、つばめ、うぐいすなどはニュースでも季節と紐付けられていますが、23種類もあったのですね。動物は0種類になりました。

詳しくは気象庁のサイトをご確認ください。この削減は大きなニュースになったようで、継続ができないかというのが探られいくつか継続の動きがあるようです。気象庁と環境省のプレスリリース「「生物季節観測」の発展的な活用に向けた試行調査の開始について(PDF)

多肉植物や塊根植物の管理に合いそうな生物季節観測

2021年12月17日に撮影した落葉したイチョウ
2021年12月17日に撮影した落葉したイチョウ

何年か色々なできる限りどこにでもあるような植物を町中で観察していたのですが、イチョウの木が観測対象として良さそうでした。気象庁が生物季節観測の対象としている植物でなくても良いと思ったのですが、自分の管理とイチョウの木の落葉や発芽がタイミングが近かったです。

植物の取り込みタイミングとイチョウ

気象庁のデータによると2021年は12月14日が落葉した日だそうです。紅葉した日は11月26日とのこと。ちなみに以前、観測箇所としては横浜に住んでいたのですが紅葉12月9日、落葉12月24日だそうで感覚的にも東京のほうが植物の取り込みが例年より早く感じていたのですがイチョウも東京のほうが早かったので概ね感覚はあってました。

2021年12月13日に撮影した落葉したイチョウ
2021年12月13日に撮影した落葉したイチョウ

東京のイチョウの標本木は千代田区にある震災イチョウと名付けられたイチョウの木だそうです。またよく観察していると近所でも日当たりによって落葉のタイミングが違います。こちらも近所の写真ですが、12月13日に撮影しました。

2021年12月17日に撮影
2021年12月17日に撮影

なお2021年に多くの植物を取り込んだのが12月17日。写真は管理してる植物の一部ですが種類的にはほとんどの種類を取り込みました。

2020年12月14日に撮影
2020年12月14日に撮影

2020年は落葉が4日ほど早かったようですが写真を見返すと12月14日(今年との差は3日)に取り込んでいました。概ねイチョウの紅葉や落葉のタイミングとあってますね。ちょっとびっくりです。

東アフリカやマダガスカル原産の植物は「イチョウの紅葉」南アフリカや南米などの植物は「イチョウの落葉」に合わせて取り込むというのが1つ目安になるのかなと思いました。当然急な温度変化などがありその場合は適切な対応は必要かとおもいます。東京では2016年11月に積雪がありました。当日は最高気温8.9度最低気温0.9度なので殆どの方が取り込んだと思います(その前日は最高気温14.7度最低気温8.5度)

植物を外に出すタイミングとイチョウ

植物を外に出すタイミングは毎年迷います。手間をかける時間がある年は最高気温が15度程度になってくる頃、日中外に出して夜に取り込むなどの管理をしていました。一律で対応する場合は、さくらが散る時期か、イチョウの発芽のタイミングがよさそう(さくらが散る時期とイチョウの発芽はほぼ一緒)

2020年3月29日に撮影したさくら
2020年3月29日に撮影したさくら

さくらの開花を1つの基準にしてもよいですが、取り込みの際と同じく急な気温変化があります。2020年ですが桜開花後に積雪がありました(写真はわかりにくいですが雪が降っています)。確か一部寒さに強い植物を外に出していたのですが取り込みました。

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2022年4月9日に撮影したイチョウの発芽

ちょうど桜の花が散るころにイチョウの発芽が始まります。イチョウが発芽したらここから先は寒くなる日はあまりなく安心して外管理ができるような気温になっていると思います。人間も春になったと感じる気候になっていると思います。

まとめ

  • 冬の取り込みについて寒さに弱い植物は「イチョウが紅葉するとき取り込み」、比較的寒さに強い植物は「イチョウが落葉するとき取り込み」
  • 春に外に出すタイミングは「さくらの花が散ったら」「イチョウの発芽が確認できたら」外に出すという管理が良さそう

室内で日当たりの良い環境が用意できるなどの場合、冬は早く取り込んで、春は遅めに出すという方法は安全だと思います。自分はある程度寒さに当てて落葉させたり、春は成長期のスタートで早いタイミングから夏と同じ管理をしたいのと、できれば植物は外で育てたいのでできる限り外で管理したいと思っていて、その場合はやっぱりイチョウのタイミングが1つの目安になると思いました。

安全マージンを取りたい場合は例えば、自分が住んでいる地域より数日早いイチョウの紅葉、落葉の地域を見つけてその地域の観測結果に合わせて行動するなどもやりやすいかもしれません。ただ毎年結局冬はきて春もくるので、毎年○月○日という管理だったり、気温で最低気温が5度にタッチしたらみたいな管理でも良いと思います。自分にあった管理が一番よいですが1つの考え方として考察でした。

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この記事を書いた人

yurupu

ゆるぷの管理人。会社員(東京)植物栽培歴は20年。栽培環境は東向きベランダ→南西向ベランダ。400鉢くらいを管理。最近はマイナーな灌木とユーフォルビアの普及種が好きです。日本ブロメリア協会(BSJ)、国際多肉植物協会(I.S.I.J.)会員。