Creality Ender-3 S1 Plusのレビュー、カスタム紹介

Crealityから販売されている3Dプリンタでコスパが良いEnder3 S1シリーズの中で印刷サイズが大きいEnder-3 S1 Plusを大きい植木鉢を製造したくて購入したのでレビューやカスタムの紹介。大型造形3DプリントのTipsなど。

3Dプリンタ Creality Ender-3 S1 Plusの紹介

Creality Ender3 S1 Plus
Creality Ender3 S1 Plus

2022年春に販売されたCrealityの3Dプリンタ、Ender-3 S1シリーズの大型対応モデルEnder-3 S1 Plusを大きいものを印刷したくて購入しました。Ender-3 S1自体は信頼性高い3Dプリンタでどなたでもおすすめできるシリーズだと思います。主な特徴は下記の通り。

  • 印刷サイズ:300 x 300 x 300mm
  • CR Touchによるオートレベリング
  • 金属デュアルギアのダイレクトエクストルーダー
  • ノズル温度は260℃まで
  • amazonの公式ショップ

基本的な性能は申し分なく、Ender-3 S1 Proに比べるとノズル温度が300℃ではないという点と、印刷面のビルドプレートがPEIシートではないということが違いになる。どちらかというとEnder-3 S1 Proに近いですが値段も結構高いのでS1 Proの大型版であってほしかったと思います。

細かいことを言うとEnder-3 S1もS1 proとの金額差、Ender-3 V2 NeoがあることからS1 ProスペックでS1を販売してS1 Plusが大型モデルで良かったのではないかと。実際300℃で印刷するシーンは普及しているエンプラだとナイロンとかポリカーボネートなどになるので。ほとんどないと思います。またS1とS1 Proはスクリーンが違いProはタッチパネルなのですが、S1 PlusもS1 Proと同じくタッチパネル採用しています。

購入についてはAmazonのCreality公式で購入しました。特に問題はなかったです。Ender-3 S1 Plus自体複数登録されてしまっているようですが、下記公式ショップ扱いの製品を購入しました。検索結果も載せておきます。

Creality Ender-3 S1 Plusの組み立て

Ender-3 S1 Plusの梱包
Ender-3 S1 Plusの梱包

Ender-3 S1シリーズの3Dプリンタは非常に組み立てが簡単です。マニュアルでは配線が若干わかりにくいですが取り付けるネジも数本程度で、10分程度で組み立てが完了しました。フィラメントセンサーとかX軸、Y軸、Z軸などがどれのことかというのは初めての方にはややわかりにくさはありますが、すべてのコネクタを余すことなく接続するを心がければ大丈夫だと思います。

Ender-3 S1 Plusのエクストルーダー周り
Ender-3 S1 Plusのエクストルーダー周り

組み立て式3Dプリンターではありますが、輸送の為の分解を組み立てるという感じでほぼ完成品といってよいでしょう。各パーツや配線処理もきちんとされているので質感は高く感じます。例えば画像にあるようにヒートブロックと言われれるところにシリコンソックスなどがありちゃんとしてるなと思いました。細かい話だと、X軸Y軸はリニアガイドレールだったら良かったのにとは思いました。

Creality Ender-3 S1 Plusのオートレベリング

印刷面が大きいので四隅のレベリングに若干手間取ったのと普段使っているオートレベリングよりも若干精度が低いのか歪みを完全に取りきってくれない感じがしてオートレベリング後に手動調整を何度か行いました。オートレベリング方法については下記の公式動画を参考にしてください。

オートレベリング→個別微調整→サイドオートレベリングという手順。細かい歪みはCR Touchでは取り除けないのかは不明ですが、赤いノブで物理的な微修正が必要。

印刷データの準備

自分はメインで利用しているものがPrusaSlicerということと、作ったものを販売しているのでできる限り個体差がでないようにとPrusaSlicerで印刷データを準備しました。特にこだわりが無ければCreality Slicer(CURA系)を利用するのが良いと思います。

PrusaSlicerのプリセットにEnder3シリーズがちゃんと用意されている
PrusaSlicerのプリセットにEnder3シリーズがちゃんと用意されている

PrusaSlicer上でEnder-3シリーズの3Dプリンターのプリセットがきちんと用意されています。標準は0.4mmのノズルが付いています、大型モデル専用にしたかったので、Ender-3 S1 Plusの0.6mmのプリセットを入れました。特に印刷設定は変更していませんが、インフィルはPrusaが推奨しているジャイロイドに変更しています。それ以外はそのままの設定で問題なさそうです。

Creality Ender-3 S1 Plusのカスタム等

できる限り使いやすさを優先にして用意したものやカスタムなどを順次シェアしていきます。

1.各種サイズの真鍮ノズル揃える

Creality純正のノズルセット
Creality純正のノズルセット

ノズルはMK8という規格で様々なメーカーから販売されていますが、Crealityの純正のノズルがあります。Crealityはシートや消耗品やカスタムパーツなども用意してくれているのが嬉しいです。各種サイズと3Dプリンタで一番良く使う0.4mmが多めに入ったセットが販売されてます。自分は0.6mmを利用します。

2.純正ビルドプレートをPEIシートに交換する

Ender-3 S1 Plus用に310x310のPEIシートを用意した
Ender-3 S1 Plus用に310×310のPEIシートを用意した

純正のシートは定着は悪くないのですが熱に弱く?PLAという素材を印刷する場合はレベリングをミスすると定着が強すぎて剥がれなくなります。また利用しているうちに傷んできます。残念ながらまだEnder-3 S1 Plus用の純正PEIシートは販売されていないようなので、汎用品を購入しました(S1 Proには標準、純正交換品もあり)多分テクスチャがかかっているPEIはアセトンは使わないほうが良さそうなので取り扱いは注意が必要かもしれません。

謎の中国製ですが、310×310のPEIシートはこれしか取り扱いがありませんでした。長期利用はしていませんが今のところは問題がなさそう。Ender-3 S1 PlusでなくともPEIシートおすすめです。

実際にEnder-3 S1 Plusで3Dプリントしてみた

普段作っている植木鉢の60mmサイズをテストプリント。品質的には標準設定でそのまま印刷しましたが良いと思います。印刷風景を眺めていると、スライサーが普段使っているものと同じなので挙動が同じで安心感がありました。レベリングは普段使っているPrusaの3Dプリンタよりは若干コツがいる感じで、利用したことがありませんがCrealityのCRシリーズのオートレベリングなどのほうが精度は高いのかもしれません。

大型モデルの3Dプリントにチャレンジ、印刷速度調整

普段製造しているSSN鉢のSSN12というモデルの大型モデルを作ってみました。入口径が約200mm、高さが約200mmです。真ん中が膨らんでいるのとスタッズがあるので最大径は260mm程度です。(ちなみに1回PEIシートではない純正シートで作成したらベッドから製造物が剥がれなくて失敗しました)

印刷サイズ的にはまだ若干余裕がありますが、0.4mmノズルで積層の高さが0.2mm標準設定だと3日4時間39分(75時間)。0.6mmノズルなどを駆使して大体2日以内に収まるように設定変更しました。3Dプリントでは概ね印刷時間を短くすると品質が悪化してゆきますが、3日以上印刷に晒されることによる失敗や、時間に対する成果物を考えるとある程度時間を短縮するということを考慮したほうが良いと思います。

時間をかければ品質があがるかというとかける時間に対して品質改善幅が縮小してゆきます。大きく速度に影響する部分としては、積層高さ(高さを倍にすると理論上倍の印刷速度になる)、壁の数もしくは厚さ、インフィルの密度、そもそもの印刷速度あたりのパラメーターを変更して速度と品質のバランスが良いところを探ってゆきますが、最初は標準設定で良いと思います。

販売をする場合などは、製造時間が気になりますが販売などをしない場合はあまり速度チューニングはしなくてもよいかと思います。販売するしないに関わらずもっと速度を上げたいと思ったとき追加で1台3Dプリンタを追加することを検討してもよいかもしれません。

ビルドプレートから剥がれなくなって破損した鉢底
ビルドプレートから剥がれなくなって破損した鉢底

数日間、プリントした結果うまく不具合もなくできたのですが、最後の最後純正のベッドからうまく剥がれずbottomのレイヤーが剥がれてしまいました。かなり悔しいし800g以上の素材を使っているのでショック。確かにレベリングギリギリだったかもしれません。

Ender-3 S1 Plusで大型造形物の3Dプリントにチャレンジ
Ender-3 S1 Plusで大型造形物の3Dプリントにチャレンジ

Jusnboir Twotrees両面PEIシート310×310(Amazon.co.jp)を使って再チャレンジ。このPEIシートはツルツルの面とザラザラ(テクスチャ)の面があります。ツルツル面のほうが定着が良いと思いますが、ザラザラ面を利用してみたいと思う。ビルドプレートを変更した場合は、レベリングからまたやり直しとなります。新しい1kgの素材を用意して 数日間印刷してみましたば無事に印刷ができました。

テクスチャ系のPEIシートは、冷めると剥がれる性質があるものが多いと思います。力をいれずともビルドプレートから外れてくれました。印刷はうまくいきました。印刷面はテクスチャが転写されて若干ざらざらになりプロダクトによってはこういう質感が好まれるかもしれませんね。

耐久性などを考えても、PEIシートは導入したほうがよいとおもいます。S1 ProはPEIシートが標準でついていたりCreality純正のPEIシートが用意されているモデルもありますが、S1 Plusのサイズもぜひ用意してもらいたい。

造形の品質はよく、ダイレクトエクストルーダーのためか糸引きなども少なく非常に良好な印刷結果でした。

Ender-3 S1 Plusの総評

改めてS1シリーズのポテンシャルの高さと、ほぼ無調整で綺麗に印刷できるというのはすごいと思う。基本性能的にはS1シリーズはみな同じ結果になったと思います。さらの安定的に大型印刷ができるPlusは大は小を兼ねるという意味では置き場所さえあればとてもよい選択肢だとおもいます。

長期利用をしていませんが、レースを走るローラーは案外消耗が早いかもと思いました。長期間使ってみたらまたレビューしたいと思います。Ender-3 S1シリーズは若干以前のEnder-3シリーズに比べると値段が高いですがそれでもコスパは非常に高いと思います。おすすめできます。

<紹介している商品の詳細、購入>

なお3Dプリンタを購入する際はフィラメントも購入してください。おすすめはPolyterraのフィラメントです。値段は大体3,000円前後です。たまに高い価格で出品されてるのでご注意ください。ちょっと特殊なフィラメントなどが多いですがブログでフィラメントのレビューも行ってますのでご参照ください。必要なものなどは下記の記事もご参照ください。

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この記事を書いた人

SSN

3Dプリンタ鉢の企画、販売。植物販売など