Prusament PC blend Carbon Fiberフィラメント レビュー

Prusamentから2021年6月に発売されたPC blend Carbon Fiber(PC-CF)フィラメントのレビュー。

Prusament PC blend Carbon Fiberの特徴

Prusament PC blend Carbon Fiberのフィラメント
Prusament PC blend Carbon Fiberのフィラメント

Prusamentが開発したPC(ポリカーボネード)がメインで3Dプリンタで扱いやすいように素材をブレンドしたフィラメント。通常のPC blendのフィラメントに比べてCarbon Fiberが配合されることでPC blendに比べて印刷がしやすくなり、最終製品としての見栄えも良くなるとのこと。

Prusament PC blend Carbon Fiberのスプールとフィラメント、prusamentの巻は綺麗。個体チェックされている。Carbon Fiberが配合された雰囲気のある若干ザラザラしたフィラメントです
Prusament PC blend Carbon Fiberのスプールとフィラメント、prusamentの巻は綺麗。個体チェックされている。Carbon Fiberが配合された雰囲気のある若干ザラザラしたフィラメントです

エンクロージャーが不要で、ノズル温度が275〜295℃、ベッドの温度が100〜120℃ということで結構印刷しやすいと思います。Prusaの3Dプリンタで言えばなんとPrusa mini+でエンプラであるPC(ポリカーボネード)が印刷できるということを意味します!

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    ※日本での取り扱いはかなり少ないと思います。PC blendもほぼないかもしれません

一般的なPLAとPC-CFの特徴比較

耐熱性や耐候性、耐衝撃性などの項目においてPC-CFが勝ります。特に自分が作っているような植木鉢のようなプロダクトは、直射日光にさらされることで紫外線照射され直接太陽が当たる部分は表面温度は50度を超えてゆきガラス転移点を超え柔らかくなります。

PCの場合はPLAに比べて、紫外線に強く、耐熱性も110℃と園芸利用では到達しない温度になっています。

デメリットとしては、高温でプリントできる環境、フィラメント自体の金額が2倍以上、Carbon Fiber(炭素繊維)が入っている場合は真鍮ノズルなどでは削れてだめになってしまうため硬質なノズルを利用する必要があるなど。Prusamentも上級者向けの位置づけとしています。

Prusament PC blend Carbon Fiberの推奨環境

米Prusament PC blendとPC blend Carbon Fiberでは若干推奨環境が異なる

  • Prusa SlicerにはPC blend Carbon Fiberのプリセットがある
  • nozzle:285±10 °C
  • headbed :110±10 °C
  • Print Fan:OFF
  • エンクロージャー不要
  • PrusaのPEIシートの場合スティックのり必要
  • Prusaのテクスチャシートの場合はスティックのり不要

テスト印刷環境と設定

Prusa mini+でPrusament PC-CFをプリント
Prusa mini+でPrusament PC-CFをプリント

普段動かせる3Dプリンタは、Prusa i3 MK3S+とPrusa mini+の2種類ですがせっかくなので条件が厳しいPrusa mini+での印刷。季節は夏で24時間エアコンが付いていて25℃程度で安定している室内です。プラットフォームはサテンを使いました。

スライサーはPrusa SlicerのPrusament PC blend Carbon Fiberのプリセットを利用。ほかは通常のPLAと同じくブリムやスカートの高さはいじりませんでした。ノズル温度は最大の280℃、ベッドも100℃とPrusa mini+のフル出力。ノズルは真鍮+ルビーノズル。

  • Nozzle temperature:280℃
  • Build plate temperature(bed):100℃
  • Nozzle:ruby
  • print fan:off
PURSA SATIN POWDER-COATED SHEET
PURSA SATIN POWDER-COATED SHEET

普段はsmoothのPEIシートを使っていますが、Prusament PC-CF用にsatin powder-coated PEIシートの新品を開けました。PLAも綺麗に印刷できるので今後はsatinメインでも良いかなとも。

Prusament PC blend Carbon Fiber 3DBency

Prusament PC blend Carbon Fiber 3DBency
Prusament PC blend Carbon Fiber 3DBency

なかなか綺麗に印刷ができました。表面もやや光沢のあるザラザラ感になっています。0.2mmの積層ピッチですが積層も目立ちません。きれいな仕上がりです。Carbon Fiber配合のPLAは色々使いましたが自分が試した中では一番ザラザラ感強めです。PC(ポリカーボネード)の影響もあるかもしれません。

(左画像)造形が崩れた部分が1箇所ありオーバーハング箇所のブリッジ印刷がうまくできなかった。冷却設定などの見直しが必要かもしれません。

Prusament PC blend Carbon Fiberで作ったSSN鉢「SSN04」75mm(左)
Prusament PC blend Carbon Fiberで作ったSSN鉢「SSN04」75mm(左)

普段利用しているマットブラックのフィラメントに比べるとやや光沢、というよりはやや明るい感じです。PETGやPLAフィラメントにあるような少し安っぽい光沢ではなく輝いている感じ。表面は若干ザラザラしています。硬さに関してはPLAも硬いので握った感じだと違いがあまりわかりませんでした。fuzzy skinなどにするとまた違った表情になりそうで面白そう。

普通に販売に耐えうる表面の質感、色味だと思いました。

若干内側に樹脂のダマができてしまった。検証を行っていないですが、ノズル温度が低かったりリトラクト周りの設定を最適化する必要があるかもしれません。

結構キレイな造形、フィラメントです。Carbon Fiberが配合されているので少しザラザラで0.4mmノズルでプリントでしたが若干解像度が低く見えるのと詰まり防止の為に0.6mmノズルとかのほうがよいかもしれません。積層間の定着が悪いなどは見受けられませんでした。

Prusament PC blend Carbon Fiber 総評

大型プリント、特に底面が広いものをプリントしていないので反りやすさなどはまだわかりませんが普段作っているものは問題なく作ることができた。PA(ナイロン系)のような吸湿しやすさもないし、280℃とギリギリ扱える高温、エンクロージャーなしだったりビルドプレートとの相性などにおいても非常に扱いやすい素材だと思いました。

耐久性などは今後実験してみないとわからないです。大きなデメリットは国内での入手性が悪いこと、また価格が高いこと。一般的に利用されているPLAフィラメントは1kg3,000円程度、Prusament PC blend Carbon Fiberは0.8kg59.99ドル。2022年9月時点だと8,664円で1kg相当だと11,000円。輸入コストを考えるとPLAの4倍程度の金額となる。

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※日本での取り扱いはかなり少ないと思います。PC blendもほぼないかもしれません

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この記事を書いた人

SSN

3Dプリンタ鉢の企画、販売。植物販売など