Prusa miniにもInput Shaperのアップデートが来たので試してみた

3Dプリンタ、Prusa miniおよびmini+にもPrusa MK4の注目機能Input Shaperが搭載されるファームウェアアップデートが来たので試してみました。

Prusa mini+について

Prusa mini+は、Prusareserchの3Dプリンタの中では一番小さい3Dプリンタ。2019年にPrusa miniが発表され、2020年11月にPrusa mini+に小さいアップデート。Prusa MK3よりシステム的には新しく32bitのボードとフルカラーの液晶を備えていました。ちょっと不安な片持ちのZ軸に、180x180x180のコンパクトの印刷範囲。サイズが市販の3Dプリンタの中ではかなりコンパクトでした。

Prusa mini+は日本のamazonでも取り扱いがあり約8万円です。

Prusa mini+ 5.1.0-alpha1 Firmware

フォーラムなどでは議論されていたのだとおもいますが、Prusaからの新しいfirmwareのリリースでPrusa mini+がInput Shaperに対応したことを知り早速導入してみました。なおfirmwareはベータ版の為自己責任での利用です。

ソフトウェアのアップデートが定期的に行われていて、メジャーアップデートでも見捨てないPrusaのスタンスは素晴らしいと思います。このFirmwareを利用するためには、本体のFirmwareのアップデートとPrusaSlicer 2.6.1にPrusa mini+ IS用のプロファイルを読み込む必要があります。

プロファイルを追加しようとすると新しい構成をアップデートでき、Prusa Mini+ Input Shaper(Alpha)が選択できるようになります。今のところはプリント設定は0.2mm SPEEDのみ。MK4も最初はSPEEDのみだったので、品質重視のSTRUCTURALも今後追加すると思われます。

Prusa mini+の0.2mm SPEEDとPrusa mini+ ISの0.2mm SPEEDを比較すると基礎的なパラメーター部分は速度とフィラメント温度が違います。ISの場合、速度は外壁、インフィル、移動速度ともに140mm/s、通常版と比べると約2-3倍位の速度が標準設定のようです。Prusa MK4のInput Shaperについては下記の記事で触れています。

Prusa mini+ IS(Input Shaper)3DBenchyの印刷設定

標準設定での3DBenchyの比較。Prusa mini+ IS 0.2mm SPEED 50分、Prusa mini+ 0.2mm SPEED 1時間12分(72分)。約30%程度の速度改善となる。

参考までにPrusa MK4IS 0.2mm SPEEDで39分、Prusa MK4IS 0.2mm STRUCTURALで47分、Prusa MK4 0.2mm SPEEDで1時間1分(61分)となっている。MK4IS 0.2mm SPEEDとの差は印刷速度が170mm/sから140mm/sに下がっていることが大きい。以前テストした感じだとZ軸の移動とリトラクトで説明できそう。

Prusa mini+ IS(Input Shaper)3DBenchyの印刷テスト

アップデート内容としてUIが変更されたとなっていましたが、先日4.4.1にアップデートしたばかりでその時にガラッとUIが変わりました。まだ4.4.1に慣れていないのでどこが変わったかは不明でしたが、フィラメント交換のときの挙動などは変わりました。また標準設定のスライスでスカートがなくなりました。

なぜかレベリングの順番が変わったりもしていました。レベリングのポイント数などは変わらず、また印刷スタート時の予備出力も変わらず。この辺もMK4っぽくなっても良かったのにと。特にレベリングのポイントを増やすなどは期待してました。

印刷は、「Prusa miniってこんなにキビキビ動くんだね」「Input Shaperのメリットは高速印刷ではなく静音印刷なんじゃないか?」とMK4のときと同じ感想ではあるのですが、長らく30-50mm/sくらいの印刷速度に見慣れているのですごくキビキビ動いているように思えました。

なお、Prusa mini+を利用していますがbondtechのエクストルーダーとヒートクリープ対策のヒートブレイクを導入しています。

Prusa mini+ IS(Input Shaper)0.4mm SPEED
Prusa mini+ IS(Input Shaper)0.4mm SPEED

特に造形が崩れているところなどはないです。実際Prusaで配布されている20分台の印刷データではなく、PrusaSlicerでスライスしたデータなので印刷速度は実際は結構遅めだと思います。Prusa MK4IS 0.2mm STRUCTURALが47分なので実際は移動速度が上がったという感じかもしれません。船の先が若干冷却不足で造形が崩れています。これは次のレイヤーに移動したときの冷却不足が起因している可能性があります。

左:Prusa mini+ 0.4mm SPEED 右:Prusa mini+ IS 0.4mm SPEED
左:Prusa mini+ 0.4mm SPEED 右:Prusa mini+ IS 0.4mm SPEED

Prusa mini+ IS 0.2mm SPEED 50分、Prusa mini+ 0.2mm SPEED 1時間12分(72分)ということで30%速度改善をしていますが、造形精度にはパッと見た感じだと違いがないです。ブラインドテストをして見比べると若干角の部分が甘いかな?くらいです。

Prusaからリリースされているサンプルのスライス済みのデータは別の日に印刷してみようと思います。

感想

速度を早めたいわけではないが、速度を上げられるというのは性能上限が上がったことを意味して、アップデートでこの体験を得られるのはすごいということと、2023年は「高速印刷」が可能な家庭用3Dプリンタが多く販売されましたが、性能的には劣る部分はあるもののアップデートでトレンドに対応できたことは非常に素晴らしいと思います。最新ではないものの限りなく最新に近くなったということでは利用寿命も伸びると思います。

またInput Shaper導入によってMK3に比べると静音とされていたPrusa miniが更に静かになったのはとても良かったです。欲を言えばレベリングにアップデートが入ってほしいです。

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この記事を書いた人

SSN

3Dプリンタ鉢の企画、販売。植物販売など